通貨偽造なお話 | もっとコンピュータが好きになるblog

通貨偽造なお話

けましておめでとうございます.今年もよろしくおねがいします.つか,今年の正月,寒い...

今回のネタは通貨偽造のお話を書いてゆきたいと思います.元は★お笑い!お仕事トホホ日記★さんのこの「( ̄∩ ̄#) 偽札伝説」という記事から着想したネタです.こういうのもデジタル化の闇ってやつですかね.



去年,新札発行に伴い新たにいくつかの偽造防止の技術が追加されました.もう発行から一ヶ月以上経っていますので,既に新札を手に入れて,見て触って,新しい偽造防止の部分をながめているかと思います.ちなみに日本の札の偽造防止技術は世界一です.新札の細かい「nippon」「ginko」とかの文字を見ていると日本人の技術力の高さを痛感させられます.

- 世界最強!新紙幣の偽造防止技
- 日本銀行 お金について

- 旧1万円札の偽札十数枚見つかる 鹿児島の露店で

しかし,その一方で,頻繁に札の偽造の事件が起きており,正月早々九州は熊本で初詣中の屋台で偽札が見つかっています.罰当たりですね.札の偽造防止技術は先ほども述べた通り,世界で最強を誇るものなのに,なぜ偽札を作ろうとする人が耐えないのでしょうか.僕は犯人像としては2パターンあると考えていまして,一つはどうしようもないくらい貧乏である人,もう一つは遊ぶ金ほしさにやってしまう人です.

ニュースを読んでいくと,ほとんどが先ほど上げた犯人像の中の「遊ぶ金欲しさ」という人が多いようで,中高生の犯人も多いようでした.正月早々起きた熊本の例も犯人は若い男と証言ありましたし,犯人は10代なんじゃないかなとか思っています.

こういった偽造に関する問題が多く発生しているのは,偽造の罪が重いという事実があまり知られていないものと,コンピュータ,プリンタ等の札をコピーを可能にする機械が安価でかつ簡単に扱えるようになってきたからだと僕は考えています.



二つの問題について,法律の面と技術の面でみてゆきます.まず,偽造の罪が重いという点からみてみます.ちなみに僕は法律については詳しくないです,そこのところあしからず.

- 第6章 社会に関する罪 5 通貨偽造罪
- 第十六章 通貨偽造の罪

上のURLを見ていただければ大体わかると思いますが,札に限らず,お金の偽造は最大で無期懲役です.もし仮に遊びでお金をコピーして,たとえ使わなくても通貨偽造罪にはなりませんが,通貨摸造罪で裁かれてしまいます.また,例えば,お金を故意に削ったり,改変したりした場合は通貨変造罪になってしまいます.とまあ,非常にお金に関して厳しく取り締まっています.

ちょっと面白い話だと,新札の新しい偽造防止技術であるホログラム(きらきらしていて見る方向によって見える文字が違うやつ)が熱に弱く,アイロンに当てすぎると壊れてしまうという問題があって,これも故意にアイロンがけした場合,下手すると変造罪にあたり兼ねないというものがありました.

- 林風コラム 通貨偽造記事

なんでここまで厳しいのかと言いますと,お金という存在は国家そのものだからです.お金で物を買う=経済=その国の状況,お金の信用=国家の信用なわけです.つまりお金の偽造は国家に対する挑戦という訳です.おそらく,犯罪者でそこまで考えてやっている人はいないとは思いますが,間接的にそういう事だからです.

この問題は正直教育不足からくる問題だと思います.もし偽造が大問題である事を多くの中高生が学んでいたら,少なくとも中高生の「遊ぶ金欲しさの偽造」は防げていたのではないかと思います.今マガジンでお金をテーマにしたMIQなる漫画が連載されていますが,是非お金の偽造に関しても取り上げてほしいと思っています.



次は技術面についてみてみます.今,電気屋さんのチラシ等をみると,プリンタだけなら1万以下,プリンタとスキャナがセットになった複合機タイプですら2万以下と大変安価になり,複合機タイプなら,パソコンと接続しなくとも楽々文章のコピーが可能です.

昔に比べれば最近のプリンタは安価なものでも案外高性能で,RGB(レッド,グリーン,ブルー)の三色どころかCMYK(シアン,マゼンダ,イエロー,黒)までサポートしてますし,パソコンと接続するのもUSBのおかげで楽々です.またやっかいなのはパソコンのグラフィック関連のツールを使えば,単純にスキャナしたより精度の高いコピーが可能になることですね.

- Adobeなど、画像編集ソフトに通貨偽造防止技術採用
- EUは偽造防止の規制を ユーロでECBが要請(Googleキャッシュ)

これであとは札に似た紙質のものか,もしくは似た紙質を作れば偽札のできあがりというわけです.では技術面ではなんの対策もしていないかというとしていないわけではありません.ハード,ソフト面ともに偽造防止用の技術搭載の義務づけを行う動きもあります.

ですが,技術で全ての問題解決というのはなかなか難しく,例えばWindowsには偽造防止用プロテクトがかかっているが,Linuxなら無いとか,PhotoshopならプロテクトかかっているがGimp(フリーのグラフィックツール.Photoshopレベルの処理が可能)なら無いとか,旧式のプリンタなら問題ないとか,プロテクト外しだって平気でやる人たちが出てくるなどはすぐに想像出来ます.技術面でそういったプロテクトをしてゆくのが全て無駄かというとそうではなくて,安易に偽造しようとする人の抑止力として働くと思います.



おまけ.昔の通貨偽造罪についてにも読めるので面白いです.
- 通貨偽造罪の研究

うわ,気が付いたらまたこんなに長く書いてるし.あとまとめだけだから.

本職(やっさん)さんはおそらく通貨偽造やらないでしょうね.稼げる分と刑期が割にあってませんし.詐欺の方が効率いいですし.だから,基本的に通貨偽造する人ってのは,「ど」のつく素人さん.だからこそ,技術面で解決出来る所も多いのではないかと思っています.コンピュータを使った犯罪の中で,通貨偽造に対しての問題は比較的楽な方で,ファイル交換やポルノなどの日常的に発生する軽犯罪の問題はなかなか通貨偽造のような解決は難しいのではないかと思います.ま,ここらの話はそれはそれで面白いので後日書いてゆくことにしましょう.