シーザー暗号なお話 その2 | もっとコンピュータが好きになるblog

シーザー暗号なお話 その2

回でシーザー暗号の話は終わろうかと思ったんですが,折角なので,もう少し面白い話もしておこうと思います.

前回の「シーザー暗号なお話」の文章の最期の方に,暗号のレベルでは役には立ってないが,ちょっとした秘密の会話などする時などに利用されていたと書きました.

シーザー暗号だけという訳ではないのですが,単一換字式暗号は紀元前あたりから今に至るまでずっと利用されてきた良い例として,今回の話を書こうと思います.それは小説の世界の話です.19世紀,小説,物語の世界に暗号が登場してくるようになります.ファンタジーやサスペンス,推理ものなどです.

ちなみに,ここで紹介する小説の物語がある程度読めるURLにリンクしました,もし読んだ事ない人はどんな感じの作品かそちらに飛んでみてください.そちらでリンク先で暗号の解き方などを紹介してたりします.


例えば,ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」

- VOYAGE AU CENTRE DE LA TERRE

この作品はルーン文字で書かれた暗号を解くことから物語が始まります.ラテン語の換字暗号でかつ,文字を後ろから読んで意味が通じるというものでした.


他には,コナン・ドイルの「踊る人形」

- THE DANCING MEN

上の画像のような暗号ですね.シャーロックホームズですね.有名ですから,一度は読んだことある人も多いかと思われます.人間が踊っている象形文字のようなものですが,これも立派な換字暗号ですね.ちなみに原作中には「F J K Q U W X Z」の8文字が登場しませんでした.


最期に紹介するのがアラン・ポーの「黄金虫」

- THE GOLD-BUG

これはよく暗号の本の中にも紹介されていたりします,ここの記事で前回,シーザー暗号の解き方を紹介したと思いますが,面白いのが,この作品中でも紹介したような頻度分析によって暗号を解いているという事です.


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という暗号文なわけですが,キチンと頻度分析すれば,僕たちでも推理しながらどんな内容の文が書かれているかわかります.ちなみに,解き方と答えは上のリンクにありますから,すぐ答えが知りたい人は行ってみると良いかと思います.



単一換字暗号は,暗号の強度は明かに弱いんですが,小説の題材として利用するには丁度程良い程度の謎を与えてくれるんですね,さすがに現在ネットワーク上で交いされる暗号を解読するような内容の小説は書くのが難しいでしょう,解読パートだけでおなかいっぱいになって,中身のストーリーが訳わかんなくなりそうです.
(むしろ解けないですか・・・)

あと,こんなソフトみつけました.先ほど紹介した「踊る人形」の暗号文に変換してくれるエディタです.それ使えば一番上の画像がどういう文章かわかりますかね :)

- 「踊る人形」エディタ



完全なおまけな話.
単一換字式暗号というのは,「いつも読んでいる文字に対して,他の文字(もの)を割り当てるもの」という意味合いですので,例えば,モールス信号や手旗信号,コンピュータで言えば文字コード,バーコードなんかが当てはまったりしますね.いろいろ身近なものを見回してみると面白い発見があるかもしれません.