転字暗号なお話
週一回の更新まで更新頻度が落ち込んでしまいました :(
んー,3月の中旬まで,ちょっとこの調子かもと思っています.申し訳ありませんが,気長に待って頂ければ幸いです.
今回は,「転字暗号」に関して書こうと思います.「シーザー暗号なお話」を合わせて読むとわかりやすいと思います.今回の話の次は,ヴィジュネル暗号という暗号を紹介して,ようやく,エニグマへ話を進めていきたいと思います.
転字暗号とは,元の文章はそのままに,文字の位置だけ変更した文章に変更する事を言います.別にそんなに難しいことはなくて,例えば,「DAY」単語をぐちゃぐちゃにするだけで,以下の5通りの場合の暗号文が出来ます.
DYA
ADY
AYD
YDA
YAD
要するにこれだけなんです.ただ,考えようによってはこれは非常に強力で,文章一文を丸ごとぐちゃぐちゃにした場合を考えると恐ろしい数の組み合わせが出来上がり,そう簡単に解けなくなります.
「This is a pen」
という文章を考えれば,10*9*8*7*6*5*4*3*2=3628800通りの組み合わせが出来ます.仮に本一冊をぐちゃぐちゃにしたら,完全にお手上げです.しかし,この方法では,敵も読めませんが,味方もまた読めなくなってしまいます.
そこで,いくつか転字式の暗号というのは考えられてきました.古い物では紀元前5世紀に用いられたスキュタレー暗号です.スキュタレーとは,木製の巻き軸の事を表す言葉で,軍事用の暗号装置としては最古のものだそうです.詳しくは上の画像を見てください.
巻き軸に巻き付けられた暗号分を読んでいくと文字が現れるという仕組みです.このスキュタレー暗号の良いところは,暗号文は長いひも状のものとなる事にあります.前回の「ステガノグラフィーなお話」を思い出して頂けるとわかるのですが,このひも状になった暗号文を例えばベルトなどに加工して隠して持ち歩けば様々な所へ暗号文を届ける事が出来たのです.
上の画像についても少し解説しておこうと思います.先ほどと同じく「This is a pen」を暗号化します.巻き付けると解読された結果が見えるのがわかります.
これをひも状にするとこのような暗号文になります.
TIEHSNIA SP
これが暗号文になるわけです.
他にもこれに似た暗号はありまして,レールフェンス暗号というものもあります.レールフェンスとは横木を渡した柵という意味だそうです.この暗号は元の文章を上下に分けてしまう事にあります.また「This is a pen」を例にとって暗号化してみます.
This is a pen
↓
TIIAE
HSSPN
↓
TIIAEHSSPN
という暗号文になります.上下に分けた分がもう一度くっついているのがわかると思います.ちなみに,このレールフェンス暗号は何段でも転字させる方法ができ,先ほどの2段ではなく,3段,4段で暗号化させる事もできます.
This is a pen
↓
TSAN
HIP
ISE
↓
TSANHIPISE
もう一つ,例として回転グリル式の転字暗号をみてみますか.こちらは少し難しいですが,基本は今までとかわりません.しかし,今回のこの暗号方式では,暗号文そのものとそれを解くための窓付きのカードが必要になります.
解読方法は,暗号文に窓付きカードを宛てて,文章を読みます.読み終わったら,窓付きカードを90度回転させて読みます.それを繰り返すだけです.
今回も「This is a pen」を元に暗号化したものから複合化してみます.
窓は以下の物を利用する事にします.
***@
**@*
@***
*@**
(@は文字が見える窓)
暗号文はちょっと簡単ですが,次のものになります.
-IET
S-HN
I-A-
-S-P
解読は次のようになります.窓付きカードをどんどん回して読みます.
***@ *@** **@*
**@* @*** ***@
@*** **@* *@**
*@** ***@ @***
***T *I** **E*
**H* S*** ***N
I*** **A* *-**
*S** ***P -***
それぞれ,THIS,ISAP,EN--という言葉が読めますので,繋げると解読できたことになります.
いくつか転字暗号について見てきました.転字暗号は転字暗号が使われているという事がある程度わかっていれば,解読はさほど難しくはありません.文字そのものは元の文と代わりないですから,一定の法則の部分を一カ所でも見つけられたら後は全部解かれてしまうからです.この場合でもシーザー暗号の時よろしく英語の時はTHEや,使われていると推測出来る文字(例えばweatherなど)してゆくとすんなりわかると思います.
次回紹介するヴィジュネル暗号は,今まで紹介した暗号より強力な,一時は解読不能とまで呼ばれた暗号について紹介していきたいと思います.
(多分,今のスケジュール具合だと,早ければ日曜あたり,遅ければ3月一週目の中頃ぐらいだと思います.すいません~)
んー,3月の中旬まで,ちょっとこの調子かもと思っています.申し訳ありませんが,気長に待って頂ければ幸いです.
今回は,「転字暗号」に関して書こうと思います.「シーザー暗号なお話」を合わせて読むとわかりやすいと思います.今回の話の次は,ヴィジュネル暗号という暗号を紹介して,ようやく,エニグマへ話を進めていきたいと思います.
転字暗号とは,元の文章はそのままに,文字の位置だけ変更した文章に変更する事を言います.別にそんなに難しいことはなくて,例えば,「DAY」単語をぐちゃぐちゃにするだけで,以下の5通りの場合の暗号文が出来ます.
DYA
ADY
AYD
YDA
YAD
要するにこれだけなんです.ただ,考えようによってはこれは非常に強力で,文章一文を丸ごとぐちゃぐちゃにした場合を考えると恐ろしい数の組み合わせが出来上がり,そう簡単に解けなくなります.
「This is a pen」
という文章を考えれば,10*9*8*7*6*5*4*3*2=3628800通りの組み合わせが出来ます.仮に本一冊をぐちゃぐちゃにしたら,完全にお手上げです.しかし,この方法では,敵も読めませんが,味方もまた読めなくなってしまいます.
そこで,いくつか転字式の暗号というのは考えられてきました.古い物では紀元前5世紀に用いられたスキュタレー暗号です.スキュタレーとは,木製の巻き軸の事を表す言葉で,軍事用の暗号装置としては最古のものだそうです.詳しくは上の画像を見てください.
巻き軸に巻き付けられた暗号分を読んでいくと文字が現れるという仕組みです.このスキュタレー暗号の良いところは,暗号文は長いひも状のものとなる事にあります.前回の「ステガノグラフィーなお話」を思い出して頂けるとわかるのですが,このひも状になった暗号文を例えばベルトなどに加工して隠して持ち歩けば様々な所へ暗号文を届ける事が出来たのです.
上の画像についても少し解説しておこうと思います.先ほどと同じく「This is a pen」を暗号化します.巻き付けると解読された結果が見えるのがわかります.
これをひも状にするとこのような暗号文になります.
TIEHSNIA SP
これが暗号文になるわけです.
他にもこれに似た暗号はありまして,レールフェンス暗号というものもあります.レールフェンスとは横木を渡した柵という意味だそうです.この暗号は元の文章を上下に分けてしまう事にあります.また「This is a pen」を例にとって暗号化してみます.
This is a pen
↓
TIIAE
HSSPN
↓
TIIAEHSSPN
という暗号文になります.上下に分けた分がもう一度くっついているのがわかると思います.ちなみに,このレールフェンス暗号は何段でも転字させる方法ができ,先ほどの2段ではなく,3段,4段で暗号化させる事もできます.
This is a pen
↓
TSAN
HIP
ISE
↓
TSANHIPISE
もう一つ,例として回転グリル式の転字暗号をみてみますか.こちらは少し難しいですが,基本は今までとかわりません.しかし,今回のこの暗号方式では,暗号文そのものとそれを解くための窓付きのカードが必要になります.
解読方法は,暗号文に窓付きカードを宛てて,文章を読みます.読み終わったら,窓付きカードを90度回転させて読みます.それを繰り返すだけです.
今回も「This is a pen」を元に暗号化したものから複合化してみます.
窓は以下の物を利用する事にします.
***@
**@*
@***
*@**
(@は文字が見える窓)
暗号文はちょっと簡単ですが,次のものになります.
-IET
S-HN
I-A-
-S-P
解読は次のようになります.窓付きカードをどんどん回して読みます.
***@ *@** **@*
**@* @*** ***@
@*** **@* *@**
*@** ***@ @***
***T *I** **E*
**H* S*** ***N
I*** **A* *-**
*S** ***P -***
それぞれ,THIS,ISAP,EN--という言葉が読めますので,繋げると解読できたことになります.
いくつか転字暗号について見てきました.転字暗号は転字暗号が使われているという事がある程度わかっていれば,解読はさほど難しくはありません.文字そのものは元の文と代わりないですから,一定の法則の部分を一カ所でも見つけられたら後は全部解かれてしまうからです.この場合でもシーザー暗号の時よろしく英語の時はTHEや,使われていると推測出来る文字(例えばweatherなど)してゆくとすんなりわかると思います.
次回紹介するヴィジュネル暗号は,今まで紹介した暗号より強力な,一時は解読不能とまで呼ばれた暗号について紹介していきたいと思います.
(多分,今のスケジュール具合だと,早ければ日曜あたり,遅ければ3月一週目の中頃ぐらいだと思います.すいません~)