もっとコンピュータが好きになるblog -2ページ目

Mac化なお話

like_a_mac


月になって桜も咲き始めてますね。天気も良いし、なかなかいい感じです。


今回は今頃なんですが、先週のトラックバックステーションのお題で記事書いてみたいと思います。先週のお題は「第20回 WindowsからMacへ」という事で、Macに関してですね。「とりあえずマッカーになった気分になる」話を書いていこうと思います。WindowsをMac化するって話ですね。



僕はMacを使い始めるきっかけってたぶん人種によって三種類いると思うんです。

1.デザインの格好良さに魅かれて
2.Macにしかないソフトウェアが使いたくて
3.便利なUnixだから

「2」の人は既にMacを使っているかと思います。「3」の人はいまいちMacOSX使った事ない人はよくわからないかもしれませんが、MacOSXの底にはUnixが動いています。そしてMacOSXは既にGUI画面がそろっていたり、音楽が聴くことや印刷作業などの設定なども標準で行えます。Unixは通常MacOSXのように快適なクライアント環境を作ろうものなら結構時間がかかってしまいますが、それが何もしなくともそろっている、だからMacOSは便利なUnixなんです。よって、「3」の人は、お金に余裕のあるオタクが使っているということですね。

でもMacを使い始めるきっかけで案外多いのは「1」の理由があるからのような気がします。Appleはハードウェアのデザインはもちろん、ソフトウェアも統一感のあるすっきりとした格好のよいデザインが特徴です。ただ、どうしても格好良いだけでは、あの(比較的)高いMacを購入するのは難しいかと思います。

しかし、とりあえず、手持ちのWindowsをMacのデザインにしてみるとMacの良さがわかるかもしれません。


- The Win2Mac Project
- Windows Mac化計画
- アップル iTunes for Windows

基本はフリーやシェアのソフトウェアを使ってデザインを変更していきます。上の画像を見てください。基はWindowsXPです。よくよく見ると、Windowsのゴミ箱が見えます。ちょっと、フリーのソフトをいくつかインストールするだけでここまでMacっぽくする事が出来ます。またApple自体もWindows用にソフトウェアを公開していたりするので、それを利用する事でよりMac風にする事が出来ます。

- Win環境の完全Mac化計画

ちょっと変わったところでは、ハードウェアもMac風に改造している人もいます。こちらは完全にオタク仕様なので、真似しようとおもってもそう簡単ではありませんけど、キーボードやマウスをMac風のものに切り替えるだけでも雰囲気が出るかもしれません。



デザインを変える程度の簡単なカスタマイズでも楽しくPCが使えるかと思います。ただ、どうしてもWindowsをMacのデザイン化する程度だけではMacの良さを2割も知ることは出来ないかと思います。以前、「Exposeなお話 」という記事を書きました。あれもMacの良さの一つですが、あれはどうしてもWindowsでは難しいです。

やはり、Mac miniでも良いのでおためしで一度Macを使ってみるとその良さがわかると思いますよ :)
(要望があれば、「なんで僕がMacOSXを使い始めたか」というネタで一本書こうかなとか思ってます。)

エイプリルフールなお話

aprilfool

んだかいろいろ変わりましたね~.以前アンケートをみんなで取ったのが功をそうしたんでしょうか.これからもamebloがもっと盛り上がって欲しいですね.


また書く間隔が長くなってしまってすいません.週二回更新ぐらいの頻度に戻したいんですけどねぇ.これまではエニグマを解説しようかと思ってヴィジュネル暗号まで解説してきました.ヴィジュネル暗号の解読までやったのは少々やりすぎたかもしれませんが,おくせずエニグマも解読の部分も解説してゆきたいと思ってます.予定としましては4月中旬あたりからエニグマに関する連載を書いてゆくつもりです.とりあえずそれまでは今まで通りいろんなコンピュータネタ書いていきますんでよろしくお願いします.



今回は4月1日という事でエイプリルフールネタでも軽く取り上げたいと思います.ちなみに上の画像は今年のYahooのエイプリルフールネタです.今年はYahooの裏側というネタです.

- Yahoo! JAPAN 実録サービスを支えるスタッフたち

まあ,なかなかほのぼのしていい感じです.Yahooは大体いつもほのぼのした感じのネタをする方針のようですね.Yahooの客層から考えればどの年齢層からでも受け入れられるネタをしなければならないといったところでしょうか.


ここ2,3年日本ではインターネット上でのエイプリルフールネタが頻繁になってきた感じがあります.だいぶお堅い日本人にもユーモアが理解されてきたのか結構良い傾向なのかなとか僕は思ってます.考えるのも見るのも楽しいですしね.

ただ,やはりエイプリルフールというからには「喧嘩売ってるの?」と誤解されるぐらいきわどいネタをやってくれるとかなり面白いのになあとか思ってます.例えばLivedoorの株主向けのほりえもんの映像でほりえもんが「今度は4月1日に楽天を買収します」に言ったりとか.

そこまできわどいのやったらいくらエイプリルフールと言っても怒られてしまいますかねぇ.でもきわどければきわどいほど笑えるんですけどね :)

エイプリルフールって飲み会の席に似てるかも.「無礼講でも羽目は外すな」って感じ.



さて,こんなページもありました.

- 日本インターネットエイプリル・フール協会

掲示板やblogには個人の人が作ったネタも含めて沢山のエイプリルフールネタが公開されています.なかなか個人の方が作ったものでも手のこんだものもありました.暇つぶしにいろいろ見に行ってみると楽しいかもしれませんね.

- ポスカ グリーディングカード

こちらではエイプリルフール用のグリーディングカードがいくつか送れるようです.(今さら紹介しても遅かったか :P )


何はともあれ年に一度の遊びの行事ですし,来年あたりは騙す側にまわって楽しんでみるのもいいかもしれませんね.(今年は忙しくて実は今,今日が4月1日だって思い出しましたよ :( )

ヴィジュネル暗号なお話 その4

間が4時間ほど余ってしまって,何かでつぶさなくてはならなかったので,局所的に流行っている映画でも見に行くことにしました.

僕は何の映画見てきたのでしょうか.これから適当にヒント出しながら書いていくんで,わかった人はニヤニヤしながら読んで下さい.

ちなみに場所は池袋.ローレライとどっちみるか迷ったんですけど,その映画,公開最終日だったんで,ローレライは来週見る事にして,その映画を見てきました.

僕はあの作品が映画化した事より,出崎監督が制作した事の方が興味ありました.果たして出崎テイストであの作品を描けるのが,それが疑問だったんですよ.実際に見てびっくり.見事に出崎テイストが主張されてました.

出崎監督と言えば,「止め絵」「透過光」「画面分割」「ゲロ」など有名ですけど,それらがあの作品内にキチンと入っていたのは大変良かったです.特にヒロインにゲロさせた所は最高でした.泣けませんでしたけど.

正直言えば今やってるTV版の方が良いですね.泣けます.しかし映画版は出崎監督ファンは見るべきです.あの作品のファンというだけなら見なくても良いです.つか見ると反感持つと思います.ストーリーも大幅に書き換えられているし.(ちなみに僕は映画の最中,頭を傾げっぱなしでした.)

朝一に行ったのに立ち見になるぐらい大量に人入っていましたよ.びっくり.さすが局所的に大人気な映画.僕は始まって2,3分遅れて入場したんですけど,なんか背広着てたせいかなんか知りませんが,映画館の人が席探してきてくれて,座ってみる事が出来ました.ありがとう.




上の話わかった人いるかな.多分,僕の知り合いの人なら数人はわかったと思いますけど.池袋という単語で.さて,今回はヴィジュネル暗号の解読というお話.前回取り上げたバベッジが如何にして解読していったのか見ていきます.


ヴィジュネル暗号なお話 その2」では,ヴィジュネル暗号の仕組みを見ました.その時出てきた例をもう一度見てみます.


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
鍵語:「UNIX」

例「USER」を暗号化してみます.(青で着色)
U → o
S → f
E → m
R → o
「USER」→「OFMO」


鍵となる言葉を決めて,それを基にして暗号化をしてゆくのがヴィジュネル暗号というものでした.今までの換字暗号系ではtheなどの頻繁に使われる文字は暗号化されても同じ暗号文として出力されていた為,その言葉を探し出すという手法が取れたわけですが,この方法によってできなくなった事を意味します.以下例です.


以前の換字暗号系の例
「the」は「omy」に暗号化される = 文章中の他の「the」も「omy」になる
よって「omy」を見続ければ暗号の関係性を探し出しやすい

ヴィジュネル暗号の例
「the」が「daq」や「hth」や「tew」など様々な文字列に変化する
様々な文字に変化するので関係性が見つけられない



ヴィジュネル暗号について,最初の例を取ってもう一度見てみます.平文が暗号化される際には鍵の位置が変わる事によって,暗号文も変化してゆきます.


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
鍵語:「UNIX」

例「USER」を暗号化してみます.(青で着色)
U → r
S → m
E → r
R → z
「USER」→「RMRZ」


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
鍵語:「UNIX」

例「USER」を暗号化してみます.(青で着色)
U → c
S → p
E → y
R → e
「USER」→「CPYE」


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
鍵語:「UNIX」

例「USER」を暗号化してみます.(青で着色)
U → h
S → a
E → b
R → l
「USER」→「HABL」


このように,「USER」という文字は「OFMO」の他に「RMRZ」「CPYE」「HABL」という他の文字に変更される事がわかります.このように平文からいくつかの暗号文が生まれてくる事がわかります.しかし,暗号化された結果はこの場合は四つしかない事がわかります.

今までの解読手法がそのまま利用出来ないのものの,平文の単語から変更される種類が固定ならば,ヴィジュネル暗号といえども繰り返し出てくる可能性がある文字を「くさび」にして鍵語が探し出せるかもしれないと考えたわけです.

問題は,暗号化された文字列が繰り返される場合が二種類あることです.


「1.鍵語の同じ並びで暗号化された場合」
「2.全く別の平文の単語などがたまたま暗号化された結果が同じ場合」


どういう事がもう少しかみ砕いて説明しますと,鍵語「UNIX」を用いて「USER」を暗号化した場合「OFMO」という文字列が出てきます.という事は文章中にもう一回「OFMO」が出た場合,その文字列が「USER」である可能性があるのですが,もしかしたら全く別の単語,例えば「WINDOWS」という単語のたまたま暗号化された結果が「IGOFMOP」だったりするかもしれないという事です.ただ,2の問題は繰り返しの文字列が長い場合(例えば4文字以上とした場合など)は可能性として非常に小さな確立になるため,除外する事で解決が可能でした.
(「WINDOWS」の暗号化の例で鍵語「UNIX」で答えが正確に「IGOFMOP」になるかは確かめていません.あしからず.)

ヴィジュネル暗号はその性質上,鍵語さえわかってしまえば,一気に平文に戻せてしまいます.よって,解読の方法としては,繰り返しの文字の間隔を測り,可能性のある鍵語の長さを調べ,鍵語を推測して,解読する事になります.手作業でやるとなかなか大変ですが,地道にやればやれない事もないです.



と言っても,どうやって鍵語の長さや鍵語を推測すればよいかこの説明だけではよくわかりません.そこで簡単な例を出して,その方法を見ていきたいと思います.



PLIWKRHKUXLOPYICZECDDIAOZRICZECDDIXRQVWNWCXRAGVSZEC
(わかりやすくするため既に同じ並びの文字には色を付けておきます.)


まず,鍵語の長さの突き止め方について見ていきます.上の例を使う前にもうちょっと簡単な例で平文で同じ並びの文字列と鍵語の並びが同じだった場合の関係をみてみます.


平:The Sun and The Moon
鍵:day day day day dayd


Theの部分と鍵の並びが同じ事がわかります.最初のTheの頭(T)から二番目のTheの間は9文字の開きがあります.もし9文字の開きがある場合に鍵語が同じならびになる可能性は,1文字の鍵語,3文字の鍵語,9文字の鍵語の可能性がある事がわかるでしょうか.こういう事です.


平:The Sun and The Moon
(数字は鍵語の長さだと思ってください)
1:aaa aaa aaa aaa aaaa (鍵語「a」)
3:day day day day dayd (鍵語「day」)
9:tra nsp ort tra nspo (鍵語「transport」)


一文字の鍵語という事はありえませんので,必然的に鍵語は3文字か9文字になります.対象となる暗号文が長ければ同じ並びの文字列がヒットする可能性も多くなるので,鍵語の長さの判別は容易になってきます.

それでは,最初の例を元に鍵語の長さの可能性を見てみます.



PLIWKRHKUXLOPYICZECDDIAOZRICZECDDIXRQVWNWCXRAGVSZEC

DDI            :12文字の開き:可能性→2文字,3文字,4文字,6文字,12文字 
ZEC(一つ目と二つ目):12文字の開き:可能性→2文字,3文字,4文字,6文字,12文字
ZEC(二つ目と三つ目):20文字の開き:可能性→2文字,3文字,4文字,5文字,10文字,20文字



上の例から,およその鍵の長さが判明しました.2,3,4文字の長さの鍵語のようです.今回の文は少々短かったので,完全に判断しきれなかったのですが,もう少し長い例文だった場合はもうちょっと絞り込む事ができます.例を簡単にするため,ここでは4文字の鍵語であることがわかった事として話を進めます.



鍵語の長さが判別出来たら,今度は鍵語の推測をします.ヴィジュネル暗号では鍵語によって暗号化をしていますが,4文字の鍵語であった場合,1文字目,5文字目,9文字目の文字...といった感じで見ていけば単に今までの換字暗号系と同じ手法で暗号化されているのがわかります.これは2文字目,6文字目,10文字目...3文字目,7文字目,11文字目...4文字目,8文字目,12文字目...も同様に同じ事が言えます.

つまり,鍵語の長さがわかった今では,「シーザー暗号なお話」でも出てきた頻度を調べる方法を応用することによって調べる事が可能です.



PLIWKRHKUXLOPYICZECDDIAOZRICZECDDIXRQVWNWCXRAGVSZEC 


一文字目の頻度を調べてみると「Z」の頻度が高い事がわかります.正確に調べるにはそれなりの頻度分布表が必要なわけですが,ここでは簡略化の為省きます.アルファベット中,「A」「E」「T」あたりが頻繁に利用される文字なのですが,頻度分布のと比較によって,ここでも説明省略の為,「Z」は「D」ではないかという推測が出たとします.
(似た長さの平文文章などから頻度分布をした結果と照らし合わせると出やすいです.また例えば,海軍から出た暗号文である事がわかっているならば,同じ海軍の他の平文文章の頻度分布と照らし合わせるなどすればよりヒット率は高くなるはずです.例ではどうしても平文での頻度分布を出しづらいので省略してしまいます.)

「Z」が「D」と推測するならば.鍵語の一文字目は「W」であることがわかります.


平:abcdefghigklmnopqrstuvwxyz
暗:wxyzabcdefghigklmnopqrstuv


これを,同様に二文字目,三文字目,四文字目に対して与えてやると,次のようにわかったとします.


二文字目:高頻度文字「E」:予想平文字「A」:予想鍵語「E」
三文字目:高頻度文字「I」:予想平文字「E」:予想鍵語「E」
四文字目:高頻度文字「D」:予想平文字「T」:予想鍵語「K」


という事で,頻度分布から鍵語は「WEEK」であると推測出来たとします.この鍵語を元にして先ほどの暗号文を解読してゆけば,



PLIWKRHKUXLOPYICZECDDIAOZRICZECDDIXRQVWNWCXRAGVSZEC
The Monday The Tuesday The Wednesday The Thursday The Friday


と読むことが出来ました.



ヴィジュネル暗号解読は大体今の例のような感じで行われました.ちなみにその3で取り上げたバベッジが上のように解読していったのですが,この解読については何も発表などしなかったそうです.20世紀になってバベッジのメモの中でこの解読法について書いてあるのを見つけてバベッジが解いた事がわかりました.
(余談ですが,後にカシスキーという人がバベッジと同様の方法でヴィジュネル暗号を解読しています.)




ようやくヴィジュネル暗号終わりました~.半月かかってしまいました~.しかも,結構長いですしねぇ.

それから,一番上の画像の解説.以前Kryptosという彫刻について説明したと思いますが,それと同じくサンボーンという人の彫刻でCyrillic Projectorと言います.ノースカロライナ大学にあります.これらの彫刻に関しては解読しようとする人たちが結構いて,解読結果(または途中)を公開しているページもあります.興味あれば,こちらをどうぞ.

- Elonka's Kryptos Page
- The Cyrillic Projector Code - Cracked!
- Cyrillic Projector & Spinning Top


これから書いてゆく事になるエニグマに関してもこのヴィジュネル暗号の考え方や解読の考え方が生きている所があるので,ここら辺がわかれば,エニグマについてもっと詳しくわかるのではないかと思います.

ただ,やっぱり,上の例だけでは,わかりにくいかもしれません.質問などコメントなどで書いてもらえるとフォロー出来ると思います.(でも,ヴィジュネル暗号なんて,学校の授業でも教えている先生いるのかなぁ~とか考えてしまいます.)

さて,次回からは暗号の話とは別の話を数回やってから,エニグマについて書いていきます.

ヴィジュネル暗号なお話 その3 (バベッジなお話)

「これ、おいしいから食べてみなさい」と上の人から言われたので食べてみました。おいしいと言われていたものは、アメリカで買ってきたというハッカ味のクリームを固形化したような訳の分からない食べ物。

本人曰く、「おいしくて一人で一箱食べてしまった」そうで。僕がそれを見たとき、なんというかおぞましい食べ物だろうかと思いましたよ。食紅で青だの緑だの変な色付けられているし、食欲もわきません。食べてもみましたが、もう気持ち悪かったです。(基本的にアメリカのあの訳のわからないお菓子は口に合わないのですが。)

でも曰く、「ハッカ(シナモン)の味もわからないようでは、食通ではない」とか。良いです、僕は。お子さまだから、ウィスキーでも買って飲んでますから~。




さて、また一週間ほど空けてしまいましたが、後残り二回(予定)となりましたヴィジュネル暗号に関して続けていきたいと思います。今回は第三回。今回は19世紀に作られた解読不能(と言われた)暗号と対決する事になる「チャールズ・バベッジ」について取り上げていこうと思います。

なんで、一回分わざわざこの人について取り上げるかと言いますと、このバベッジという人、コンピュータの父と呼ばれる人だからです。バベッジはこれから説明していきますが、いわゆる階差エンジン(機関)や解析エンジン(機関)と呼ばれるものについて、大変有名な方です。ソフトウェア業界にいる人で知らなければモグリなぐらい、まあ有名な方なんですが、案外暗号解読もしていた事は知られていないようです。

バベッジとはどんな人だったのかという事と、バベッジが暗号と戦う事になった経緯を見ていこうと思います。



18世紀、19世紀にかけて通信という分野が徐々に発展してきます。無線技術やモールス信号などが当てはまります。しかしながら、それら通信は平文(暗号化されていない文)で行われており、誰でも傍受可能でした。それを回避する為、20世紀にはビジネス向けなどにヴィジュネル暗号が利用される事になってきました。

ちなみに、今のネットワークであっても盗聴可能でして、簡単にデータを盗む事は出来ます。怖い人は暗号化することなどを心がけた方がよいかもしれません。

話は戻って、そんな中、学芸協会誌に一つの論文が載ります。書いた人はジョン・ホール・ブロック・スウェーツという人。その人は暗号については素人同然だったのですが、ひょんな事からヴィジュネル暗号と同じ暗号を考えついてしまいました。
そこで早速特許をとろうと論文を書いたわけなんですが、その論文を読んだバベッジは「この暗号は既にある」とスウェーツに教えてあげます。

そこから対決はスタートしました。スウェーツは「なら、解いてみせろ」と挑みます。バベッジはヴィジュネル暗号が解読不能暗号である事は知っていましたが、きっと頑固な人だったんだと思いますが、解読不能なら自分が解いてみせると立ち上がる事になります。

ちなみに、現代の解読不能と言われる暗号の中に公開鍵暗号というものがあります。じつはこの暗号、安全である事はみんなわかっていたんですが、本当に安全なのかという証明はまだされてなかったという話をどっかの雑誌で読んだ事あります。(この話の元記事を探し出したら、後でコメントの所に詳しい話を書いておきます。)

おそらくヴィジュネル暗号が盛りのこの時代でも多分この公開鍵の話と同じように、皆が「無敵」と思いこんでいた節はあったのかもなと思っています。バベッジは暗号解読は好きだったようですが、多分、バベッジもスウェーツという人が食って掛かっていなかったらヴィジュネル暗号と対決する事なんて考えなかったのかもしれません。結構暗号というのは「安全と思いこむ」という危険性がはらんでいるので、たとえ暗号の専門家であっても気を付けなければならないんでしょうね。




話は変わって、バベッジはどんな人だったのかをみていきます。バベッジといえば最初にも書いた通り、コンピュータと父と言われ、コンピュータの基礎を作った人にあたります。コンピュータの基礎、階差エンジン、解析エンジンの話をする前に他にもバベッジはいろいろなものを作って、それが今でも利用されているものもあるようなのでそこらへんも取り上げてみます。するとバベッジの素晴らしさがわかるかと思いますので。

バベッジは大変うらやましい事に大変な資産家で、ずっと好きな研究をして生活していました。そんな中で様々な便利なものを開発しています。たとえば、車などについているタコメータ。回転速度計のことです。他にも保険会社などで使われているという死亡率・平均余命などの変化を表した表、生命表(死亡表)、はては、現在の郵便システムの基礎(全国一律料金)を作っていたりします。


そんな研究生活の中である日バベッジは、海運で用いられる「緯度経度を計測するための天体位置の早見表」に計算間違いがあることを見つけ出します。それも一千箇所以上あったそうです。実際、その表のせいで海難事故などが起こっていたそうで、国益を考えた場合、この早見表の改善を考えるのは必須でした。

当時この表は人の手で計算されていましたが、バベッジは膨大な量の計算を間違わずに行うために機械の力でこれを解決しようと国に持ちかけます。これによって生まれたのが階差エンジンになります。

- Computer Arithmetic
- Wikpedia チャールズ・バベッジ

この最初の階差エンジンを作るのにすでに10年を費やし、多額の費用も費やしていました。階差エンジンは簡単な計算を行うことは可能でしたが、バベッジの狙いは、単に計算を行う程度の機械ではなく、プログラミングをすることでさまざまな計算を行ってくれる機械を作ることでした。それが解析エンジンです。しかし、国は追加予算をつけることをせず、結局バベッジが生きている間には完成することが出来ませんでした。しかし、死後そのレプリカが作成されており、予算さえあればなんとか作る事は可能だったとも言われています。(印刷機能もあったとか)

上の画像がそうです。

この階差エンジンや解析エンジンの設計にはエイダという女性が関係しています。最初のプログラマーとか最初のコーダーとか言われている人です。こちらに関しては、またいつか書きたいと思います。

個人的に階差エンジンは一度生で見たいと思う機械です。一度テレビで見たときはホントに「あれは機械じゃない、芸術品だ」と思ったくらいですから。



長々書いてきましたが、次回は今回取り上げたバベッジがヴィジュネル暗号に挑む方法、解読方法について見ていきたいと思います。

ヴィジュネル暗号なお話 その2

,書いているエニグマまでの連載ですが,これ終わったら,また何か他の題材で連載してみたいなあとか考えています.なにか良い題材ないかなとか考えています.今歴史関連の話ばっかりなので,少し実用的な話をした連載でもしてみますかね.



ヴィジュネル暗号の二回目です.前回はヴィジュネル暗号が生まれた背景についてみてみました.よくよく考えると,換字,転字の暗号が生まれてから数百年以上経っていて,かつ,強力な暗号が必要な事もわかっていたのに.なかなか次の暗号が生まれてこず,ヴィジュネル暗号が生まれる16世紀までかかってしまったというのはなかなか興味深いです.

案外暗号を利用していた昔の人たちの中には「傍受,解読出来るのが当たり前」という心理があったのかもしれませんね.そこまで深く調べていないのでなんとも言えませんけど.

さて本題の話に戻して,第二回目では,ヴィジュネル暗号とはどんなものであったのかを解説していきたいと思います.ちょっと難しいかもしれませんが,出来るだけわかりやすく書きたいと思いますので,がんばって読んで頂ければと思います.



前回の終わりにアルベルティの暗号を紹介しました.ちょっとおさらいまでにもう一回どんなものだったか紹介します.


変換表
平 :ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
暗1:ZCNKLXHIVBAQOEFTSRMPWGDUJY
暗2:YZCNKLXHIVBAQOEFTSRMPWGDUJ

例「THIS IS A PEN」→「PHVR VR Z FLO」


このように,アルベルティの暗号の暗号では,二つの暗号アルファベットを交互に利用する事によって,一般的な換字暗号よりもはるかに高い暗号強度を持つことが出来ました.

これは,例えば「THIS IS A PEN」という文章は「PHVR VR Z FLO」という文章にも「MIIM IM Y TKE」という文章にも暗号化される可能性があり,簡単に出現頻度の高い文字が暗号化された文章を見つけだすのが難しくなっているという事になります.

ここの意味がよくわからない人は「シーザー暗号なお話」で暗号解読の仕方について書いた箇所があるので,そこをご覧下さい.



ブレーズ・ド・ヴィジュネルはこのアルベルティの考え方を継承し,さらに発展させました.それがヴィジュネル暗号です.アルベルティの暗号では二つの暗号アルファベットを利用しました.しかし,ヴィジュネル暗号では,アルファベットの数,つまり26個の暗号アルファベットを利用して暗号化することにより暗号の強度を上げています.

もうすこし具体的につっこんでいきましょう.ヴィジュネル暗号では,次の様なシートを利用して暗号化します.


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
1 :bcdefghigklmnopqrstuvwxyza
2 :cdefghigklmnopqrstuvwxyzab
3 :defghigklmnopqrstuvwxyzabc
4 :efghigklmnopqrstuvwxyzabcd
5 :fghigklmnopqrstuvwxyzabcde
6 :ghigklmnopqrstuvwxyzabcdef
7 :higklmnopqrstuvwxyzabcdefg
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
9 :gklmnopqrstuvwxyzabcdefghi
10:klmnopqrstuvwxyzabcdefghig
11:lmnopqrstuvwxyzabcdefghigk
12:mnopqrstuvwxyzabcdefghigkl
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
14:opqrstuvwxyzabcdefghigklmn
15:pqrstuvwxyzabcdefghigklmno
16:qrstuvwxyzabcdefghigklmnop
17:rstuvwxyzabcdefghigklmnopq
18:stuvwxyzabcdefghigklmnopqr
19:tuvwxyzabcdefghigklmnopqrs
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
21:vwxyzabcdefghigklmnopqrstu
22:wxyzabcdefghigklmnopqrstuv
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
24:yzabcdefghigklmnopqrstuvwx
25:zabcdefghigklmnopqrstuvwxy
26:abcdefghigklmnopqrstuvwxyz


このシートをヴィジュネル方陣と言います.ただ,ヴィジュネル暗号では.アルベルティの暗号のように,ただこのヴィジュネル方陣を上から順番に使って暗号化していく暗号ではなくて,さらにもう一工夫されています.



それが鍵の存在です.つまり,方陣をそのまま上から順々に使って暗号化していったのではヴィジュネル暗号が使っている事さえわかっているなら,ほとんどシーザー暗号(カエサル暗号)と同じ要領で簡単に解かれてしまいます.

しかし,上から順番ではなく,バラバラの順番の列の暗号アルファベットを利用して暗号化したらどうなるでしょうか.例えば,元の文(平文)の一文字目は5行目の暗号アルファベットを利用して暗号化,2文字目は20行目の暗号アルファベットを利用化....といった感じで行ったとします.

解読者はどんな順番で暗号アルファベットを利用していったのかわからない限り,たとえヴィジュネル暗号が利用されている事がわかったとしてもそう簡単に解読するのが難しくなりました.

もうすこし具体的に見ていきましょう.例えば鍵語「UNIX」とします.すると利用される暗号アルファベットは以下のようになります.


平 :ABCDEFGHIGKLMNOPQRSTUVWXYZ
20:uvwxyzabcdefghigklmnopqrst
13:nopqrstuvwxyzabcdefghigklm
8 :igklmnopqrstuvwxyzabcdefgh
23:xyzabcdefghigklmnopqrstuvw
鍵語:「UNIX」

例「USER」を暗号化してみます.(青で着色)
U → o
S → f
E → m
R → o
「USER」→「OFMO」


このように平文の一文字目は20行目の暗号アルファベットを利用して,二文字目は13行目,以降,三文字目は8行目,四文字目は23行目,5文字目は戻って20行目を利用して暗号化してゆきます.

暗号化プロセスは,アルベルティの暗号とかわりありません.



この鍵を利用するアイデアはアルベルティの暗号の暗号よりもより強固であることを示しています.先ほども述べたように,鍵語がわからなければ,解読は難しい事はわかりますし,何より,鍵語の文字数を増やせば,26行の暗号アルファベットを利用するどころか,1000行,10000行の暗号アルファベットを利用することも可能になるんですね.

たとえ,出現頻度の高い文字を文章中から探そうとしても,利用されているだとうと推測される文字を探そうとしても,同じようには暗号化されて出てこないのですから,容易ではなくなりました.

コンピュータの「コ」の字もなかった時代ですから,解読の困難さは火を見るより明らかだったわけです.その後約300年間,ヴィジュネル暗号は最強の暗号として君臨することになりました.



ちなみに上の画像,アメリカはCIA本部にある「クリプトス」という彫刻です,よくよくみると,これはヴィジュネル方陣なんです.何でCIAに?と疑問を持たれる方も多いことと思います.興味を持たれた方は次のリンクをたどってみてください.

- CIA本部に据えられた暗号彫刻『クリプトス』の謎


さて,次回三回目は,一気に進んで19世紀まで飛び,このヴィジュネル暗号と対決する事になる人について紹介します.大変にすごい人です.この人がいなければ今のコンピュータはあと100~200年ぐらい出来るの遅かったんじゃないかなと,個人的に思っています.

次は,コンピュータ好きなら暗号抜きにしてもぜひ読んで頂きたいかも.

ヴィジュネル暗号なお話 その1

ーレライ,おもしろそうですね.久々に映画館まで行って見たいなぁと思う映画が来ましたよ.役所広司さん,やっぱ格好いいなぁ.ちなみに役所さんは@niftyのウィルスの恐怖展というちょっと変わった趣向の企画のホスト役もやってました.世にも奇妙な物語風のドラマ仕立てでネット上のウィルス騒動や詐欺に関して紹介していました.

- ローレライ



ようやくヴィジュネル暗号まできました.予定では四回の連載ものとして紹介したいと考えています.まず第一回目の今回は,ヴィジュネル暗号が生まれた背景についてふれたいと思います.

今までいくつかの暗号について紹介してきました.しかし,そのいずれも,解読しようと思えば,さほど苦労しなくても解読出来てしまう程度の暗号でした.暗号というものは,安全を確保すると同時に,安全でもないのに安全だと思いこんでしまうという大きな危険性も持っています(現在の暗号の世界でも安全と思いこむ危険性については問われています).

これまでの暗号は安全を確保するという意味では15世紀ごろまでは全く使いものにならないものと化していて,むしろ危険度の方が大きかったぐらいでした.そして時代はすすみ,もっと強力な暗号が徐々に求められてゆくことになります.



15世紀になり,ようやく今までの転字,換字暗号よりも強力な暗号が登場します.それがレオン・バッティスタ・アルベルティという人が作成した暗号です.これはこれから説明するヴィジュネル暗号の考え方の基礎を作った暗号です.ちなみにこのアルベルティさん,シーザー暗号なお話の回でも出てきていまして,暗号円盤というものを作っています.こちらも合わせてみるとより面白いかと思います.

それから,上の写真はアルベルティの像です.


では,早速そのアルベルティの暗号がどのようなものであったか見ていきましょう.今までの換字式の暗号は,平文(暗号前の文)の一文字に対して,対になる文字を当てたものでした.


変換表
平:ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
暗:ZCNKLXHIVBAQOEFTSRMPWGDUJY


「THIS IS A PEN」→「PIVM VM Z TLE」


これに対してアルベルティの暗号の平文のアルファベットに対して,暗号の為のアルファベットを二つ用意します.そして,交互に暗号用のアルファベットを利用してゆきます.最初の変換は暗号アルファベット1を使い,次は暗号アルファベット2を使うといった感じになります.転字暗号なお話の回で出たレールフェンス暗号と丁度組み合わせた感じなもとと考えても良いかもしれません.



変換表
平 :ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
暗1:ZCNKLXHIVBAQOEFTSRMPWGDUJY
暗2:YZCNKLXHIVBAQOEFTSRMPWGDUJ


「THIS IS A PEN」→「PHVR VR Z FLO」


このアルベルティの暗号の暗号の強みは同じアルファベットであっても二通りの変換が成されることにあります.例えば上の「THIS IS A PEN」が「PHVR VR Z FLO」と暗号化されました.今までの換字暗号では,再び文章中に「THIS IS A PEN」と出てきたら,全く同じ暗号文が生まれてきてしまいますが,ここでは「MIIM IM Y TKE」と暗号化されて出てくるかもしれないという事です.これで,THEなどの出現頻度の高い文字があっても今までのように簡単に解く事が難しくなりました.



アルベルティは,今までにはなかった新しい暗号の扉を開いたのですが,深く追求する事なく,そのままにしてしまいました.アルベルティの考え方を継いでいったのがヨハネス・トリテミウス,ジョヴァンニ・ポルタ,そしてブレーズ・ド・ヴィジュネルの三人です.

- 暗号研究者の一覧

ヴィジュネルは,アルベルティ,トリテミウス,ポルタの考え方を吟味してゆき,16世紀についに極めて強力な暗号を完成させる事になります.それがヴィジュネル暗号です.これが,史上「解読不能」と言わしめた4つの暗号の最初の一つ目になります.

次回は,実際にヴィジュネル暗号の仕組みを見てゆきます.土曜日に公開を予定しています.

転字暗号なお話

一回の更新まで更新頻度が落ち込んでしまいました :(
んー,3月の中旬まで,ちょっとこの調子かもと思っています.申し訳ありませんが,気長に待って頂ければ幸いです.


今回は,「転字暗号」に関して書こうと思います.「シーザー暗号なお話」を合わせて読むとわかりやすいと思います.今回の話の次は,ヴィジュネル暗号という暗号を紹介して,ようやく,エニグマへ話を進めていきたいと思います.


転字暗号とは,元の文章はそのままに,文字の位置だけ変更した文章に変更する事を言います.別にそんなに難しいことはなくて,例えば,「DAY」単語をぐちゃぐちゃにするだけで,以下の5通りの場合の暗号文が出来ます.

DYA
ADY
AYD
YDA
YAD

要するにこれだけなんです.ただ,考えようによってはこれは非常に強力で,文章一文を丸ごとぐちゃぐちゃにした場合を考えると恐ろしい数の組み合わせが出来上がり,そう簡単に解けなくなります.

「This is a pen」

という文章を考えれば,10*9*8*7*6*5*4*3*2=3628800通りの組み合わせが出来ます.仮に本一冊をぐちゃぐちゃにしたら,完全にお手上げです.しかし,この方法では,敵も読めませんが,味方もまた読めなくなってしまいます.



そこで,いくつか転字式の暗号というのは考えられてきました.古い物では紀元前5世紀に用いられたスキュタレー暗号です.スキュタレーとは,木製の巻き軸の事を表す言葉で,軍事用の暗号装置としては最古のものだそうです.詳しくは上の画像を見てください.

巻き軸に巻き付けられた暗号分を読んでいくと文字が現れるという仕組みです.このスキュタレー暗号の良いところは,暗号文は長いひも状のものとなる事にあります.前回の「ステガノグラフィーなお話」を思い出して頂けるとわかるのですが,このひも状になった暗号文を例えばベルトなどに加工して隠して持ち歩けば様々な所へ暗号文を届ける事が出来たのです.

上の画像についても少し解説しておこうと思います.先ほどと同じく「This is a pen」を暗号化します.巻き付けると解読された結果が見えるのがわかります.

これをひも状にするとこのような暗号文になります.


TIEHSNIA SP


これが暗号文になるわけです.



他にもこれに似た暗号はありまして,レールフェンス暗号というものもあります.レールフェンスとは横木を渡した柵という意味だそうです.この暗号は元の文章を上下に分けてしまう事にあります.また「This is a pen」を例にとって暗号化してみます.


This is a pen

TIIAE
HSSPN

TIIAEHSSPN


という暗号文になります.上下に分けた分がもう一度くっついているのがわかると思います.ちなみに,このレールフェンス暗号は何段でも転字させる方法ができ,先ほどの2段ではなく,3段,4段で暗号化させる事もできます.


This is a pen

TSAN
HIP
ISE

TSANHIPISE



もう一つ,例として回転グリル式の転字暗号をみてみますか.こちらは少し難しいですが,基本は今までとかわりません.しかし,今回のこの暗号方式では,暗号文そのものとそれを解くための窓付きのカードが必要になります.

解読方法は,暗号文に窓付きカードを宛てて,文章を読みます.読み終わったら,窓付きカードを90度回転させて読みます.それを繰り返すだけです.

今回も「This is a pen」を元に暗号化したものから複合化してみます.

窓は以下の物を利用する事にします.


***@
**@*
@***
*@**
(@は文字が見える窓)


暗号文はちょっと簡単ですが,次のものになります.


-IET
S-HN
I-A-
-S-P

解読は次のようになります.窓付きカードをどんどん回して読みます.


***@  *@**  **@*
**@*  @***  ***@
@***  **@*  *@**
*@**  ***@  @***


***T  *I**  **E*
**H*  S***  ***N
I***  **A*  *-**
*S**  ***P  -***


それぞれ,THIS,ISAP,EN--という言葉が読めますので,繋げると解読できたことになります.



いくつか転字暗号について見てきました.転字暗号は転字暗号が使われているという事がある程度わかっていれば,解読はさほど難しくはありません.文字そのものは元の文と代わりないですから,一定の法則の部分を一カ所でも見つけられたら後は全部解かれてしまうからです.この場合でもシーザー暗号の時よろしく英語の時はTHEや,使われていると推測出来る文字(例えばweatherなど)してゆくとすんなりわかると思います.



次回紹介するヴィジュネル暗号は,今まで紹介した暗号より強力な,一時は解読不能とまで呼ばれた暗号について紹介していきたいと思います.
(多分,今のスケジュール具合だと,早ければ日曜あたり,遅ければ3月一週目の中頃ぐらいだと思います.すいません~)

切符購入なお話

日の「UnionFSなお話」は予想通りの反響の無さでした.でも,くじけずUnix普及の為にもまたUnix関連の記事も書いていきたいと思います.


さて,今回は切符購入なお話.主に列車の切符を購入する話です.余談なんですが,先日も新幹線乗って他の土地に行って来たんですよ.ちょっと切符買うのが遅くなって,禁煙席が買えなかったので,仕方なく喫煙席で行くことになったわけですが,僕,たばこ嫌いで,あの時間は地獄でした.でも昨今のたばこへの風当たりの強さのせいか,喫煙席でも,あまりたばこ吸っている人は少なかったですね.個人的には少しずつ,たばこ吸う人が少なくなって欲しいなと思っています.



最近は列車の時間を調べるのも楽になりました.おそらく多くの方が利用されていると思いますが,Yahooの路線情報検索(駅すぱあと)では,出発時間や到着時間の指定などの細かい設定もしながら路線のチェックが可能になっています.

- Yahoo!路線情報

駅によっては出口がいくつもある駅もありますが,そういった出口情報も調べる事も可能なので大変重宝します.

ちなみに,Googleでも,同様に路線のチェックが可能です.例えば


「東京から博多」


と検索ワードとして検索すると「駅前探険倶楽部」か「えきから時刻表」といういずれかのサービスを利用して検索する事が可能です.

- 駅前探険倶楽部
- えきから時刻表

自分の好みで選んで利用してみるとよいかと思います.ホテル情報検索や,飛行機の空席状況なども合わせてチェック出来たりします.



あと,JRの「えきねっと」を利用しておトクチケットを探すとより安く切符を購入出来ると思います.

- えきねっと

僕は鉄道オタクではないので,今どんな限定の安いチケットがあるかよくわかりませんが,ここのサービスで検索すれば,今ある安いチケットの情報も取得できます.他にも新幹線の空席状況もわかるので,どうしても乗らなければならない列車の場合の切符のときは予めここでチェックしておいた方がよいかもしれません.



今回とりあげたサービスなどは旅の計画立てる時に組み合わせて利用して,後は旅行代理店などのスタッフさんに「こんな感じで計画立ててみたけどOK?」とか聞いて確認してもらうとよろしいかとおもいます.もしかしたらもっと安いプランとか立ててくれるかもしれませんしね.



次回はまた暗号の話に戻ります.転字暗号系の話,ヴィジュネル暗号の話をぶっ続けで書いていきたいと思います.その後,少し間をあけて,3月か2月後半あたりから,エニグマについて書いていきたいと思います.映画「エニグマ」も見なおしてきます.

UnionFSなお話

近,Unix系の話を書けていないので,ちょっと書いてみようと思います.Unix系の話,なかなか面白いものも多いんですけど,如何せんユーザ数もそう多くないので,書いてもあんまり興味持ってくれないんじゃないかなとかいう気持ちもあります.

実際,OPAPIさんが先日,アメブロのユーザさんへアンケート取った時の,使っているOSは何かという項目の結果はほとんどの方がWindowsのみの環境という結果も出てますし,なかなかMacOS,Unix,Linux関係の記事書くのは勇気がいったりします.

でも「Unixだったらこんな事もできるんだ.おもしろそうだな」と思ってもらえるような内容を出来るだけ伝えられるような内容で書いて,少しでもUnix系ユーザが増えてほしいなと思っています.



それで今回紹介するのはUnionFSについてです.これは,二つのディレクトリ(Windowsで言えばフォルダの事と考えてください)を重ね合わせて利用できるというものです.

このシステムは正確にはBSD系という言われるUnix系OSでしか利用出来ないので注意が必要です.FreeBSDとかOpenBSDとかNetBSDと言われるようなOSです.これらのOSは売ってもいますが,基本的にはタダです.CDイメージをダウンロードして自分でCDを作るか,もしくは雑誌のおまけでなどで手に入れるとよいかと思います.エミュレータなどにインストールしたり,古いコンピュータに遊びで入れたりするとよいかもしれません.
(エミュレータなどの話はまた後日やることにします)



では具体的にどんな感じになるか見てみますか.仮にディレクトリAとディレクトリBがあって,ディレクトリAの中にaというファイルとcというファイル,ディレクトリBの中にbというファイルとcというファイルがあるとします.ディレクトリ構造とファイルの中身を以下のようにしました.一緒に上の図を見てゆくとわかりやすいと思います.


Directory A
File a --> 「aa」
File c --> 「ac」

Directory B
File b --> 「bb」
File c --> 「bc」


この状態にして,この二つのディレクトリを結合します.上の図のようにAを上にしてBを下にしてみます.


# mount -t unionfs ./A ./B (環境によってやや異なります)


こうすると,先ほどのディレクトリは次のように変更されます.


Directory A
File a --> 「aa」
File c --> 「ac」

Directory B
File a --> 「aa
File b --> 「bb」
File c --> 「ac


こんな感じでBにAのディレクトリのファイルが来ている事がわかります.こうすると,Bの中身にあるAのファイルを変更した場合,Aのファイルが変更されることになります.また,AとBのディレクトリにはどちらもcというファイルがありますが,これはAのファイルが優先されてしまいます.cのファイルを編集した場合,Aのcが変更されることになります.こんな感じ.


Directory A
File a --> 「aabb
File c --> 「acb

Directory B
File a --> 「aabb
File b --> 「bb」
File c --> 「acb


という事で下のディレクトリであるBのファイルが保護されている事がわかるかと思います.要するにディレクトリAは透かされたディレクトリでそれを通してディレクトリBを見ている感じになるわけです.もし,ディレクトリBでbのファイルを編集するとこんな感じになります.


Directory A
File a --> 「aabb」
File b --> 「bbaa
File c --> 「acb」

Directory B
File a --> 「aabb」
File b --> 「bbaa
File c --> 「acb」


この状態でマウントを解除します.


# umount -A  (このコマンドじゃなくてもOK)


Directory A
File a --> 「aabb」
File b --> 「bbaa
File c --> 「acb」

Directory B
File b --> 「bb
File c --> 「bc


といった感じでBのbが変更されていない事がわかります.こういった感じで作業が出来るので,Aのディレクトリにはなにもファイルを入れず,Bのディレクトリに編集したいファイルを入れておき,Bのディレクトリの編集したいファイルを壊さず,編集されたファイルはAに溜めておく事が出来ます.



他にも,こんな使い方も.


# mount -t unionfs -o -b /usr/ports /opt/chroot/usr/ports


こんな感じにすると,ファイルのコピーをすることなく,他の場所に同じファイルを見せる事ができるようになり,HDDの容量を減らす事がありません.Unixの中にもう一つUnixが入っている環境などでは便利です.


Windowsでもこんな便利な事できるといいんですけどね.リンクを張るのはまた違った利用価値があるますね.

番組表なお話

日,新しいのHDDビデオデッキを買いました.僕はそれほどHDDビデオデッキが普及していない時から使い始めましたが,これはすごく便利なものです.今ではなくてはならない必須アイテム.

しかも新しいデッキは以前のものに比べると,機能が増えているのはもちろんのこと,操作性が明かにアップしています.早い.

という訳で,折角だから,番組表についてやってみようと思います.最近はCMなんかでも時々出てくるので名前は聞いた事ある人も多いかもしれませんが,いわゆる「EPG(Electric Program Guide[電子番組表])」というものの話です.



一昔前は楽に番組を予約する方法としてはGコードぐらいしかありませんでした.Gコードは新聞に書いてあるコードをいちいち入力しなければならないという欠点があり,頻繁に録画しなければならない人にとってはGコードを使ったとしても不便なものでした.GコードはスカイパーフェクTVのようなCS放送にも対応していないのも欠点でした.
(スカパには独自のEPGが昔からありましたけどね)

そこで考えられたのが電子番組表,EPGです.EPGを利用すれば,例えば画面中に出てくる番組表の録画したい番組にカーソルを合わせてクリックするだけで予約が終了するので,とても楽です.

また,いちいち新聞を探す手間が省けたり,いつでもその番組にはどんな人が出演しているかなどのサブ的な情報も見る事が出来ます.新聞では,紙面の関係上どうしても削られてしまう番組の情報も見れます.こういった利点もあるわけです.



EPGは,大きく二つ分けて二つの方式で送られてきているようでして,一つはネットワーク上からの取得する方法,もう一つは設置してあるアンテナを利用して取得する方法となっているようです.

ネットワーク上から取得する方法の例として,XMLTVというものがあります.こちらは数カ国の番組表をXMLという,わかりやすく言えばHTMLの親戚みたいなもので送信されています.ここから情報を取得して動いてEPGを実現しているプログラムもあります.(後述します.)

- TVガイド iEPG
- XMLTV

他にもテレビガイドのページのiEPGがあります.ここでは,plファイルというもので,番組の情報をダウンロード出来るようになっています.もし自分でプログラムが書ける人ならこれを利用して予約をすることが出来るわけです.


- ADAMS-EPG

そして,もう一つの方法,普通にアンテナから取得する方法の例としては,ADAMSがあります.これはテレビ朝日が受信出来る地域なら受けられるサービスでして,最大8日分の番組表が自動で送られてきます.最大の利点はいちいちネットワークに接続しなくても良いので,ネットワーク環境がない場合でも利用可能な事です.その分,ネットワークに比べ,送信される情報が制限されている(地上波とBSのみ)になっているのが欠点とも言えます.それでも最近の機材にはこれに対応しているのが多くなっているようです.

ちなみにADAMS-EPGはADAMS-EPG+としてネットワーク上からでも取得可能に成っています.これに対応している機材もいろいろあります.詳しくは上のADAMSのリンクからどうぞ.



- VALUESTAR TX

最近売り出されているパソコンの中には,パソコンとTVとレコーダーがくっついたかのようなものも多くあります.はっきりすごい高性能みたいです.

しかし,売り出されている機材はどれも高いものばかりなのでなかなか買えないという人はMythTVというプログラムを利用してみてはどうでしょうか.このプログラムがあれば,TVチューナーを今のパソコンに付け足すだけでなかなか格好いいHDDレコーダーにしてくれます.(注:Linuxであることが前提なんですが)

- MythTV

リンク先のスクリーンショットを見ていただけるとわかるのですが,すごく格好良い仕上がりです.また先ほど紹介したXMLTVを利用してEPGも実現されているようです.(MythTVを自分のLinuxに入れている人からスクリーンショットとろうかと思ったんですが,今日いなかったんで,取れませんでした.残念)

Linuxなので,少し難しそうという人はこんな商品も.

- OpenPVS

既に全て設定済みLinux+MythTVのマシンが買えます.なかなかオタク臭い商品ではありますが,比較的ローコストでなかなかのレコーダが購入出来ますよ.